映画の地球 音楽の気流 そして書籍の宇宙

智慧の水球に揺蕩うように生きてきたわが半生。そろそろ御礼奉公の年齢となったようで・・・。玉石混淆、13年の日本不在のあいだに誉れ高きJAPONへの憧憬を募らせた精神生活の火照りあり。

映画の地球 スポーツと映画 1

スポーツと映画
 カーリング主題 『シムソンズ』(2006年)、『素敵な夜、ボクにください』(2007年)
 
 映画の効用の一要素に楽しく、興味津々、観客を飽きさせず、まだ広く認知されていたないスポーツ競技のルールや、当該競技に掛ける選手たちの思い、発情、苦労、あるいは競技をめぐる家族や友人、社会の関わり、認知度などを90分前後のなかで収めてくれるありがたさだ。退屈なルールブックなど開く気にならない人も映画ならナガラ的に勉強させてくれるところが非常に我が輩には最適なツールである。
 日本人がカーリング、という冬のスポーツがあることをなんとなく認知したのはビートルズ最盛期の映画『ヘルプ!』に登場したことだろう。たぶ ん、なんだアレは、という雰囲気であったと思う。そのストーンを滑らすビートルズの面々も手にするのがはじめてという感じて、競技に興じるというのではなく、まったく不真面目に遊び呆けているという感じであおれは描かれていた。だから、映画をみたひとも記憶の片隅にしばらく留めたけれど、やがて忘却されたということだろう。
 それがにわかに日本でも脚光を浴びたのは、1998年長野冬季オリンピックに開催国特権で全日本選抜女子チームが出場し、TVで実況中継されてからのことのようだ。当時、中米グァテマラにいたから筆者にはまったく臨場感はないがニュースではみていた。中米諸国では冬季はおろか夏季オリンピックへの関心もほとんどない。中米地域で関心度が少し高いの は、かつて主催したことのあるメキシコぐらいだろうが、それも首都圏ぐらいだろう。1966年に開催したときのモニュメントは数多くいまも遺るが、フツーのメキシコ人にとってサッカーW杯を二度、主催したことの方がはるかに重要なメモリアルである。メキシコ最大の収容人数を誇るメキシコ市南部のアステカ競技場も、五輪のために建造された創建時13万を収容した巨大スタジアムだが、ここも2度のW杯の決戦の場として記憶されている。
 閑話休題。長野大会ではじめて公式種目となったカーリング北日本地方に向いたスポーツとして認知されると、たちまち幾つもの同好会、クラブなどが族生したようだ。しかし、それも日本の経済力という後押しがあったからだろう。冬季スポーツは 例外なく練習施設そのものに大変、金がかかる。経費が掛かるだけでなく自然を著しく毀損することが多い。
 さて長野大会でカーリングもなかなか面白い、北国ではとっつきやすいスポーツと思われてしまった(と否定的に書いているのではなく、とっかかりは得てしてそんな動機からだ)。
 日本の2本のカーリング主題の映画は、それぞれ動機が少々、いかがわしい、と言って悪ければ、安易な踏込みから始まる。

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シムソンズ』は、2002ソルトレイク大会に出場した実在の女子チームをモデルとして青春ドラマに仕立てた、やわらかいスポ魂ドラマ。北海道常呂町の女子高校生たちがルールも知らずにストーンを氷上に踏み出すところから描かれている。しかし、この映画、女子 高校生たちの話ということで、スクリーンに若さが弾けるのは良いがうるさい。『素敵な夜……』もそうだが、まったくの素人が競技にのめり込んでゆく過程が描かれることで、観る側もともにルールを把握し、競技特有の練習方法や苦労があることがつまびらかにされて、その点、なかなか教育的効果がある。しかし、それが少々、解説調になってしまう分だけ、アート性、いやドラマ性は損なわれるわけだが、もとよりそんな高尚な時点から撮られていないので、そのあたりは不問。

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 『素敵な夜……』などは、かなり動機が不純。売れない女優いづみが、韓国の人気俳優と錯覚して一夜を共にしてしまう、というところから話がはじまるのだ。その韓国人はカーリングナショナルチームに迎えられる ほどの実力者だったという大変、ご都合主義的、安易な設定から、いずみがカーリングへののめりこんでゆく発条となる。監督は、『櫻の園』『12人の優しい日本人』を代表作とする実力者となっているが、『素敵な夜……』では馬脚を露呈しているとしか思えない。だいたい『櫻の園』は木下恵介の往年の名作『女の園』に啓示を受けたものだろうし、『12人の……』は誰が見たって社会派の名匠シドニー・ルメットの『十二人の怒れる男たち』の翻案だろし、いいとこ取りの監督という評価しか献上できない。たぶん、韓流ブームとかの影響圏から韓国の人気男優キム・スンウが採用されたのだろうが、あまりにも安易な物語。ただし、カーリングという競技への理解だけは確かに深まるのであった、オワリ 。
シムソンズ』(佐藤祐一監督・2006)は、2002ソルトレイク大会に出場した実在の女子チームをモデルとして青春ドラマに仕立てた、やわらかいスポ魂ドラマ。北海道常呂町の女子高校生たちがルールも知らずに、やろう、と踏み出すところから描かれている。しかし、この映画、女子 高校生たちの話ということで、スクリーンに若さが弾けるのは良いが少々、うるさい。『素敵な夜……』もそうだが、まったくの素人が競技にのめり込んでゆく過程が描かれることで、観る側もともにルールを把握し、競技特有の練習方法や苦労があることがつまびらかにされて、その点、なかなか教育的効果がある。しかし、それが少々、解説調になってしまう分だけ、アート性、いやドラマ性は損なわれるわけだが、もとよりそんな高尚な時点から撮られていないので、そのあたりは不問。野球やサッカー映画などはルール説明などするシーンがない分、ドラマ性を追求して澱みないわけだ。
 『素敵な夜……』(中原俊監督・2007)のカーリングに手を染める動機はまったく不純。売れない女優いづみ(吹石一恵)が、韓国の人気俳優と錯覚して、リタイヤしたカーリング選手(キム・スンウ)と一夜を共にしてしまう、というところから話がはじまるのだ。その韓国の青年はナショナルチームに迎えられる ほどの実力者だったという大変、ご都合主義的、安易な設定から、いずみがカーリングへののめりこんでゆく発条となる。監督は、『櫻の園』『12人の優しい日本人』を代表作とする実力者となっているが、『素敵な夜……』では馬脚を露呈しているとしか思えない。だいたい『櫻の園』は木下恵介の往年の名作『女の園』に啓示を受けたものだろうし、『12人の……』は誰が見たって社会派の名匠シドニー・ルメットの『十二人の怒れる男たち』の翻案だろう。いいとこ取りの監督という評価しか献上できない。たぶん、韓流ブームとかの影響圏から韓国の人気男優が採用されたのだろうが、あまりにも安易な物語。ただし、カーリングという競技への理解だけは確かに深まるのであった、オワリ 。